黒川知文[著]マックス・ヴェーバーの生涯と学問 神からの使命に生きて

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黒川知文[著]

マックス・ヴェーバーの生涯と学問 神からの使命に生きて

四六判美装・300 頁・1,800 円+ 税
ISBN978-4-909871-40-4 C0010

書 評

2021年9月号「本のひろば」

右手に『聖書』、左手には『プロ倫』

「学問は神からの使命である」と信じ、宗教史研究に生涯をかけてきた研究者が、“ 恩師” マックス・ヴェーバーの生涯、信仰、学問世界に迫る、書き下ろし論考。

ヴェーバーの著書『職業としての学問』のドイツ語原題はWISSENSCHAFT ALS BERUF である。Beruf だから『神からの使命としての学問』の方が、より正確である。だから、第一に、学問は「神からの召命、使命」であるとすることが、学問を職業とする者の基本的意識でなければならない。学問は真理を探究することである。それを、単なる興味や関心からだけではなくて、神からの使命だとする者は、困難な状況を克服することができる。

 

主な目次

はじめに

第一章 ヴェーバーとの出会い

第二章 ヴェーバーの生涯

第一節 幼少期 / 第二節 青年期 / 第三節 活動期 / 第四節 「転落」 / 第五節 療養期 / 第六節 最盛期 / 第七節 円熟期 / 第八節 ヴェーバーの信仰

第三章 ヴェーバーの学問

第一節 研究領域と方法

1 研究の道筋 / 2 宗教と経済 / 3 カリスマの日常化 / 4 理念型 / 5 社会層と宗教意識 / 6 価値自由 / 

7 定点観測

第二節 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』

1 批判と評価 / 2 ヴェーバーテーゼ / 3 第一章における学術的方法 / 4 禁欲的プロテスタンティズムの基本的知識 / 5 第二章の結論 / 6 解説

第三節 『職業としての学問』

1 解説 / 2 日本における大学教員就職の状況 / 3 学問を職業とする者の心構え

第四節『職業としての政治』

1 解説 / 2 キリスト者と政治

終章 信仰と学問

あとがき

資料 1 マックス・ヴェーバーの生涯表
   2 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の内容分析
   3 職業としての学問』の内容分析
   4 『職業としての政治』の内容分析

主要文献

索引

 

著者プロフィール

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1954 年、香川県小豆島に生まれる。東京外国語大学卒業。同大学院修士課程修了後、政府奨学生としてイスラエル・ヘブライ大学に留学。一橋大学、エール大学、東京大学の各博士課程で社会史、歴史学、宗教学を専攻。文学博士(東京大学)。宗教史研究の第一人者。愛知教育大学名誉教授。明治学院大学、東京基督教大学、東京大学、東京外国語大学、慶應義塾大学、南山大学大学院、東洋英和女学院大学大学院でも講師を歴任。また、東京神学校、東京基督神学校、エール神学校で聴講してPh. D(神学博士)取得。湖北パークサイドチャペル牧師。中央学院大学教授。賀川豊彦記念松沢資料館館長。

著 書
『歴史のなかの地域』(岩波書店)、『ロシア社会とユダヤ人』(ヨルダン社)、『ユダヤ人迫害史』(教文館)、『ロシア・キリスト教史』(教文館)、『岩波キリスト教辞典』(岩波書店)、『一神教文明からの問いかけ―東大駒場連続講義』(講談社)、『一神教とは何か』(東京大学出版会)、『西洋史とキリスト教』(教文館)、『ロシア正教のイコン』(監修 創元社)、『内村鑑三と再臨運動』(新教出版社)、『歴史観とキリスト教』(新教出版社)、『海外の宗教事情に関する調査報告書』(文化庁)、『現代社会とキリスト教』(慶應義塾大学出版会)、『日本史におけるキリスト教宣教』(教文館)、『ユダヤ人の歴史と思想』(ヨベル)等がある。