金子晴勇[著]キリスト教思想史の諸時代Ⅲヨーロッパ中世の思想家たち[第3回配本]

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金子晴勇[著]キリスト教思想史の諸時代Ⅲ
ヨーロッパ中世の思想家たち

新書判・平均256 頁・1,320 円(税込)

書 評

2021年11月号「本のひろば」

霊性の深まりと共に拓かれていった神秘思想、神学大系の構築など、
キリスト教思想が大きく花開いたこの時代を探訪!

ヨーロッパにおける諸聖人の頂点に立つフランチェスコについて「聖性とは焼き尽くされた偉大さである」と言われる。この偉大さは人間的要素が燃え尽きた状態であって、自己否定の上に授けられた霊性の特質である。

キリスト教信仰においては自己否定は「無から有を創造する神の行為」に一致して起っているのに、フランチェスコの場合には「偉大が額の上に戴く冠を聖者はおろす」と言われる。この偉大さをおろす行為が微光のようにように輪になって残っているばかりか、徳行として惜しみなく人々に施されるのである。(本文より)

《主な目次

はじめに アウグスティヌスからルターへ

1 中世ヨーロッパ社会の形成[談話室]中世史家ピレンヌと増田四郎

2 スコトゥス・エリウゲナの『自然の区分』[談話室]中世文学にあらわれた騎士道的な愛

3 アンセルムスと「理解を求める信仰」[談話室]神の存在証明は必要か

4 ベルナールの神秘主義[談話室]観想と活動の生活

5 女性神秘主義の特質[談話室]ベギン運動について

6 聖フランチェスコとボナヴェントゥラ[談話室]修道院文化について

7 トマス・アクィナスの神学大系[談話室]ボナヴェントウラとトマス・アクィナス

8 ダンテとヨーロッパ的な愛[談話室]パオロとフランチェスカの物語

9 エックハルトとドイツ神秘主義[談話室]魂の根底と霊性

10 新デボティオ・モデルナしい敬虔の運動 ― ヘールト・フローテからガブリエル・ビールまで
[談話室]ジェルソンの『薔薇物語』批判

11 オッカム主義の伝統とその破綻[談話室]パラダイムの転換

あとがき

 

著者紹介 金子晴勇(かねこ・はるお)

1932 年静岡生まれ。1962年京都大学大学院博士課程中退。67年立教大学助教授、75年『ルターの人間学』で京大文学博士、76年同書で日本学士院賞受賞。82年岡山大学教授、1990年静岡大学教授、1995年聖学院大学客員教授。2010 年退官。

主な著書:『ルターの人間学』(1975)『アウグスティヌスの人間学』(1982)、『ヨーロッパ人間学の歴史』(2008)、『エラスムスの人間学』(2011)、『アウグスティヌスの知恵』(2012)、『知恵の探求とは何か』(2013)、『キリスト教人間学』(2020)、『私たちの信仰』(2020)、『人文学の学び方』(2020)、『ヨーロッパ思想史』(2021)ほか多数  主な訳書:アウグスティヌス著作集 第9 巻(1979)、ルター『生と死の講話』(2007)、ルター『神学討論集』(2010)、エラスムス『格言選集』(2015)、C. N. コックレン『キリスト教と古典文化』(2018)、エラスムス『対話集』(2019)、ほか多数

 

全巻構成赤文字既刊:タイトルが変更される場合もあります。)

ヨーロッパ精神の源流 好評既刊

アウグスティヌスの思想世界 好評既刊

ヨーロッパ中世の思想家たち [第3回配本]

Ⅳ エラスムスと教養世界 [第4 回配本・編集中

Ⅴ ルターの思索 [第5回配本]

Ⅵ 宗教改革と近代思想 [第6回配本]

Ⅶ 現代思想との対決 [第7回配本]